年末年始は食事の機会が増えるだけでなく、初詣などで外出してもジムでの筋トレなどは休みとなり、運動不足に陥りやすい。正月明けの出勤でスーツを着ると、なんだかウエストがきついといったことも起こりがち。とはいえ、年明けの仕事も山積みで、食事量は減らすにしても、ジムに通う時間的な余裕は乏しい。そんなときに役立つ、通勤・通学時間でお腹を凹ます方法があった。
へそから「握りこぶし1個分下」の「丹田」に力を入れる
「1分間血流アップ体操で超健康になる!」(アスコム)の著者である、富永ペインクリニック(愛媛県松山市)の富永喜代院長が説明する。
「年末年始の食べ過ぎだけでなく、運動不足で筋力は低下しやすくなります。そこでまずインナーマッスルを維持することを考えてみましょう。そのひとつが、おへそから握りこぶし1個分下に位置する丹田(たんでん)に力を入れ、お腹を凹ませる方法です。電車に座ったとき、あるいは、デスクワークでも簡単にできる体操です」
「丹田凹まし体操」の方法は次のとおりだ。
@ イスに浅く座り、骨盤を立てるイメージで背筋を伸ばす。
A 丹田の付近に力を入れて、お腹を凹ませる。
B 1、2、3、4、5とゆっくり数字を数えた後、フーッとお腹の力を一気に緩める。
C 電車で行う場合は、ひと駅の間、これを6回ほど繰り返す。デスクワークのときには、1分間繰り返すのが目安だ。
「たとえば、品川駅に到着して駅名のアナウンスが入ったら、丹田凹まし体操をするといったように、ご自身で体操のきっかけを決めておくと習慣化しやすいと思います。女性の場合は、同時にお尻の穴をキュッと締めると、尿漏れの改善にもなります」(富永院長)
スマホの操作姿勢ひとつで筋力アップも
血流と言えば、例えばスマホを操作するときの座り方でも、血流は悪くなりやすい。腹筋もたるみ、姿勢が悪いことで腰痛にも結びつきやすくなります」(富永院長)。典型的な「ダメなスマホ操作のポーズ」とは、背もたれによりかかるように座ること。腰を丸めて作業しているのと同じような姿勢になるため、腰に負担がかかり、腹筋も緩みがち。このとき、血流も悪くなっているそうだ。
「スマホを操作する時の正しい姿勢は、座り方については丹田凹まし体操と同じですが、スマホをいつもの目線の高さから一画面分上の高さに持ち、左右のひじで脇をしめるように腕を固定してみてください。スマホの重さも感じることなく、背筋がスーッと伸びた姿勢でスマホの操作ができます。見た目がスッキリするだけでなく、健康にも役立ちます」(同)
腕の重さは両腕で8キログラムもあるという。脇をしめ腕を胸部で固定してスマホを持つだけで、腕の筋力を鍛えることもできる。
姿勢の悪い状態では血の巡りが滞り、うっ血によって肩こりや腰痛などもひどくしてしまいがち。さらにむくみも生じ、腹筋が弱まると腹部のたるみにもつながりやすい。それを改善するには、丹田凹まし体操だけでなく、もうひとつ通勤タイムに役立つ体操がある。それが「片足立ち」だ。
「電車の進行方向に身体を正面に向けましょう。人間の身体は、横から入る力は倒れやすいのですが、前後から入る力は倒れにくいのです。進行方向に向いて吊皮を持ち、両足の前後に少しずらして片足立ちをして、「1、2、3、4、5」と数えてみてください。左右交互に行うと良いでしょう」(同)
ルートを知っているいつもの通勤・通学電車ならば、カーブや駅近くにさしかかったら両足で踏ん張る。カバンは片手で腹部や胸の辺りでしっかり持つ。そしてときどきカバンを持ち変えるのがコツ。満員電車で身体移動が難しいときには、ちょっと空いたときの1駅分だけチャレンジ。これだけでも、足や腕の筋肉保持に役立ち、血流もよくなるそうだ。
「脂肪燃焼に役立つ食事」+「歩く」で痩せる
「筋トレまでの効果はありませんが、40歳以上の人であれば自重負荷(じじゅうふか)といって、ご自身の体重で負荷をかけることも筋力の維持に役立ちます。年末年始に増えた体重は通勤時間を上手く利用して、筋力に刺激を与えて血流を良くし、さらに食事制限で効率良く減量してみてください」(同)
食事との関連でいえば、脂肪燃焼に役立つ成分のひとつにカルニチンがあげられる。脂肪燃焼に関わるビタミン様物質(誘導体)で、マトンやラムに豊富に含まれているという。ジンギスカンなどを適量食べてカルニチンを補いながら、通勤でなるべく歩くように心掛けるだけでも、脂肪燃焼に役立つという。
「ちょっとした工夫で、毎日ひと駅分でも、1分間でも健康管理をすることは可能です。1分間というのは、心臓から出て全身にめぐる血流が、静脈を通して戻ってくる時間なのです。1分間の体操だけでも、血流が良くなると考えられています。今日から始めてみてください」と富永院長はアドバイスする。